2015年12月7日月曜日

第5回4大学リトリートが開催されました。




 第5回の4大学リトリートは、京都大学の当番で、125日から6日にかけて、京都御所に隣接したザ・パレスサイドホテルで行われた。今年度は2011年から始まった、東大、京大、名大、阪大を中心にMD研究者養成コース活動の最終年度であり、次年度以降については東大を中心に文科省等への働きかけを行っているとのこと。
今回も基本的には例年と同様のプログラムであったが、1日目はポスターセッションと2つの招待講演、2日目は学生の口頭発表とワールド・カフェ形式のディスカッションいう形に整理されていた。本学からは4名の学生(すべて3年生)と3名の教員が参加し、2名がポスター発表、1名が口頭発表を行い、それぞれが活発にディスカッションに参加していた。4大学で31名の学生、10名の教員が参加。出席した学生は、4大学とも、1~4年生にほぼ限られていた。来年、MD-PhDコースに進学を予定している京都大学の学生が司会を担当していた。
 今年、新たな試みとしてポスター発表者による3分間のフラッシュトークがポスターセッションの直前に行われた。これでポスターセッションの開始とともに、学生が興味のあるポスターに直行し、同時並行的に、ポスターの説明を詳細に行うことができ、ポスターセッションが大変充実したので、今後も続けた方が良いと思われた。
ポスターは詳細な分子生物学的研究だけでなく、興味をおぼえた文献をまとめて紹介するものもあった。後者も自分の興味を深めていく上でとても重要であり、そのような「自分の興味」を深めていって大きな仕事に至った2人の先達の招待講演も非常にインパクトがあった。京都大学の斎藤道紀先生の「生殖細胞の発生機構の解明とその試験管内再構成」では、始原生殖細胞様細胞をin vitroでマウスES細胞やiPS細胞から誘導する方法を開発し、マウスからヒトへの展開の過程で、現在は滋賀医大のカニクイザルを使っての研究も勧めているとのことだった。大阪大学の吉森保先生の「細胞の守護者オートファジー:疾患に対抗する細胞内自己分解システム」では、オートファゴソームの細胞内起源を解明したこと、ランダムに起こる細胞内小器官の更新機構としてのオートファジーだけでなく、穴の開いたリソソームを選択的に隔離除去するためのオートファジーも存在することを発見。この分野では日本の研究が世界をリードしていることも紹介された。
毎回、たいへんおもしろい仕事をしている研究者を選んでくる実行委員会の学生、中でも会場係として走り回っていた京都大学の学生たちには、今年も敬意を表したい。