2015年2月27日金曜日

第15回コースミーティングを開催しました。




研究医コースに入って、色々考えてみた。』

 演者は研究医コースに在籍し,約3年が経過した.その3年間を振り返り,今回は, 1)研究内容の現状,2)研究医コースに在籍して良かったこととイマイチだったこと,3)研究から得たもの,そして4)医学教育の中に研究を入れ込むことの限界について,演者自身の経験を共有し議論することを目的として発表を行った.1)研究内容については,出生前低栄養動物を用いた実験より,行動変化や血漿中代謝物変化といった結果は出ているものの,それを論文化する上で必要なデータを取りそろえることに難渋しているという現状を紹介した.2)研究医コースに在籍して良かったこととして,学会参加の為の参加費や旅費を補助していただいたことを紹介した.イマイチだったこととしては,学業や,生活費工面のためのアルバイトで時間がとられてしまい、コースに在籍しても思うように研究が進まないことを挙げた.3)研究から得たものとして,新たな実験技術の習得,研究と医学教育との知識における連続性の構築などを挙げた.最後に4)研究を行うことの限界について,前述した通り、現状の医学教育の枠組みの中では,思うように時間が作れないために実験が進まず,論文執筆という成果まで達することは困難であるという実感を述べた.医学部生においても,学部生時代より研究に触れておくことは非常に重要であると考える.しかし,ただ単に“経験する”だけで終わりで良いのか,もしくは論文投稿という“成果”まで結びつけるのか,その到達点についても今後議論する必要があると考える.
  原澤 俊也【第5学年】



2015年2月16日月曜日

第14回 コースミーティングを開催しました。



 私は研究医コースでは社会医学講座公衆衛生学部門に所属しており、疫学研究の調査に参加することで調査の実際を知るとともに、研究内容や統計手法について指導をいただきながら自身の研究を進めている。今回のコースミーティングでは、これまでの研究内容に加え、研究テーマを選んだ経緯、今後の展望などについて発表した。発表の概要は以下の通りである。

 私が所属している社会医学講座公衆衛生学部門では、日本全国から無作為に抽出された大規模コホート研究であるNIPPON DATA 2010の解析を行っている。NIPPON DATA 2010は、国が実施してきた循環器疾患基礎調査の後継調査として、2010年国民健康・栄養調査と並行して行われた調査であり、調査項目には、健康状態、生活習慣、社会背景などに加え、主観的幸福感や生活満足度に関する質問が含まれている。(NIPPON DATA 2010の詳細:http://hs-web.shiga-med.ac.jp/study/NIPPONDATA2010/

主観的幸福感や生活満足度に関する調査は各国で行われているが、日本においても、内閣府によって行われる「国民生活選好度調査」に主観的幸福感に関する設問が含まれており、生活全般や福祉領域に関する考え方の長期的な意識変化の把握に役立てられている。主観的幸福感や生活満足度の調査は、日本人の精神面における健康を把握・理解するうえでも役立つものであり、NIPPON DATA 2010のような無作為に抽出された集団から、幸福感・満足度がどのような背景因子と関連するかを明らかにすることは意義が大きいものと考えられる。

本研究では、NIPPON DATA 2010調査対象者のデータを用いて多変量ロジスティック回帰分析を行い、主観的幸福感および生活満足度と、各種の背景因子との関連を解析した。その結果、同居者の有無などいくつかの背景因子との間に関連が認められた。現在はさらに解析を進めており、今後、結果をまとめて論文として発表することを直近の目標としている。
                            増本 佳泰【第5学年】



2015年2月12日木曜日

第9回研究医養成コースセミナー開催のお知らせ


第9回研究医養成コースセミナーを下記のとおり開催いたします。
多数ご参加いただきますようお願い申し上げます。

                記

日 時:2月13日(金)12:05~12:55
   
場 所:小教室(一般教養棟1階) 

演 題:新しいエピジェネティック制御としての染色体高次構造変化

演 者:生化学・分子生物学講座 分子生理化学部門 教授 縣 保年先生

内 容:私達は、免疫細胞の分化がエピジェネティクスによってどのように制御
されるのか興味を持ち、抗原受容体遺伝子の組換えをモデルとして研究を行って
います。これまでに、転写の活性化に関与するヒストンのアセチル化によって、
クロマチンがオープンになることや、機能的な組換えが片方の染色体に限ってお
きる対立遺伝子排除と呼ばれる現象において、E2Aという転写因子が鍵となるこ
となどを明らかにして来ました。さらに、E2Aが染色体の高次構造を変化させる
ことによっても組換えを誘導することを見出したことから、新しいエピジェネテ
ィック制御として染色体の高次構造変化についてもお話をさせていただきたいと
思います。

2015年2月2日月曜日