2015年2月16日月曜日

第14回 コースミーティングを開催しました。



 私は研究医コースでは社会医学講座公衆衛生学部門に所属しており、疫学研究の調査に参加することで調査の実際を知るとともに、研究内容や統計手法について指導をいただきながら自身の研究を進めている。今回のコースミーティングでは、これまでの研究内容に加え、研究テーマを選んだ経緯、今後の展望などについて発表した。発表の概要は以下の通りである。

 私が所属している社会医学講座公衆衛生学部門では、日本全国から無作為に抽出された大規模コホート研究であるNIPPON DATA 2010の解析を行っている。NIPPON DATA 2010は、国が実施してきた循環器疾患基礎調査の後継調査として、2010年国民健康・栄養調査と並行して行われた調査であり、調査項目には、健康状態、生活習慣、社会背景などに加え、主観的幸福感や生活満足度に関する質問が含まれている。(NIPPON DATA 2010の詳細:http://hs-web.shiga-med.ac.jp/study/NIPPONDATA2010/

主観的幸福感や生活満足度に関する調査は各国で行われているが、日本においても、内閣府によって行われる「国民生活選好度調査」に主観的幸福感に関する設問が含まれており、生活全般や福祉領域に関する考え方の長期的な意識変化の把握に役立てられている。主観的幸福感や生活満足度の調査は、日本人の精神面における健康を把握・理解するうえでも役立つものであり、NIPPON DATA 2010のような無作為に抽出された集団から、幸福感・満足度がどのような背景因子と関連するかを明らかにすることは意義が大きいものと考えられる。

本研究では、NIPPON DATA 2010調査対象者のデータを用いて多変量ロジスティック回帰分析を行い、主観的幸福感および生活満足度と、各種の背景因子との関連を解析した。その結果、同居者の有無などいくつかの背景因子との間に関連が認められた。現在はさらに解析を進めており、今後、結果をまとめて論文として発表することを直近の目標としている。
                            増本 佳泰【第5学年】